とはいえ、株価は為替相場の値動きだけで決まるわけではない。企業の業績はその企業が手がける製品やサービスの市場の動向、ライバルとの競争によっても左右されるし、株価は市場の評価や注目度、需給の状況など様々な要因によって決まる。
そのため円安がメリットになる企業でも、足元で円安が進んでいるからといって、全部の企業の株価が好調なわけではない。
そこでアイザワ証券投資顧問部ファンドマネージャーの三井郁男さんに、市場で「円安メリット株」とみられることのある企業のうち、恩恵となるはずの円安が株価にまだ十分に織り込まれていないと考えられる銘柄を挙げてもらった(上の表)。
ライバルに比べて低い
基本的には、海外売上高比率が高い企業のうち、足元の株価の水準や、株価収益率(PER)や株価純資産倍率(PBR)といった今の株価の割安度合いを判断する投資尺度がライバルなどに比べて低かったり、足元の業績は足踏みや低迷を続けているものの、大型の投資や企業のM&A(合併・買収)などによって、これから上向く期待が持てたりする銘柄だ。さらに配当など株主への還元姿勢なども加味してもらった。
そのうちの一つが、小型から大型まで幅広いラインナップをそろえるモーター大手のニデックだ。海外の売上高が全体のほぼ9割を占め、ドルに対しては1円の円安で年間の売上高は100億円、本業のもうけを示す営業利益は11億円押し上げる。
同社が4月23日に発表した25年3月期の業績見通しが市場の大方の予想に届かなかったこともあり同日の株価は一時下落したものの、三井さんは「もともと今の株価はピークよりも大幅に低い水準。回復の余地は大きい」とにらむ。