合挽肉を使ったのは、牛肉の価格が高かったので、豚肉との合挽肉を使用することになったからとか。また、ハンバーガーより早く餃子や焼売など豚挽肉を使う料理が普及したことから、合挽肉を使う発想になったとも思われます。外国発祥の料理を日本人の嗜好に合わせ、オリジナル料理にする文化から生まれたのが、日本のハンバーグなのです。
パン粉がレシピに入っているのは、当初カサ増しのためでした。しかし、このパン粉を入れることで、ふっくら感が出て、パン粉が肉汁を吸って、うま味を閉じ込めておいしくなることがわかり、今でもハンバーグのレシピに加えられているのです。
「オンザライスで食べる」新スタイル
話を戻して、現在のハンバーグの話。
コロナ禍が明け、海外から日本の食を目当てに来日する外国人も増えていますが、彼らの目的の1つにハンバーグがあるそうです。和牛のしゃぶしゃぶやステーキではなく、ハンバーグです。
白米のおいしいご飯とハンバーグをセットにしたお店が、ここ数年続々登場し、どの店も行列ができており、外国人の姿も多数あり!「格之進」の東京駅店「格之進ハンバーグ&バル」でも、お客さまの2割強が外国人で、ハンバーグが人気です。
このハンバーグ専門店人気のきっかけは、2020年に吉祥寺にできた「挽肉と米」。2005年、ワンランク上のハンバーグを目指し、こだわりのレシピでハンバーグに特化した店「俺のハンバーグ山本」(現在は「山本のハンバーグ」)で話題となった山本昇平シェフが中心となって立ち上げました。
「挽きたて、焼きたて、炊きたて」をコンセプトに、牛肉100%のハンバーグを、目の前で焼き上げ、小さめのハンバーグを食事のペースに合わせて3個を上限に、炊き立てのご飯と共に提供。そして、自分好みに薬味(ニンニクふりかけや青唐辛子オイル漬けなど)をトッピングして、ご飯に乗せながら食べるスタイルは、ありそうでなかった、でも誰もが求めていたハンバーグの食べ方で、若い世代の胃袋を掴みました。
その後「挽肉と米」は、渋谷や京都など日本だけでなく、台湾、韓国にも出店し、あっという間に世界的な話題店となっています。