ちなみに、わざわざサンダルを脱いで、裸足になって、ソファにチョコンと体育座りをするお客に一度だけ遭遇したことがあります。リリー・フランキー氏でした。今から15年ぐらい前。それはそれは華奢で小さくて迷子の子供のようで、でも髪は金髪で、お行儀よくタバコを吸っていました。裸足の指には黒のマニキュアが施されており、私が「ゴスロリの役でもするんですか?」と聞いたら、「違う。ゲイのママ役」と気だるそうに答えたのが、私たちのファーストコンタクトでした。

 リリーさんはその後、私たちのグループ「星屑スキャット」にいくつもの楽曲を書き下ろしてくださり、「お前らには金の匂いがする」と言ってくれる、数少ない人物のひとりです。
 

 話を新幹線の土足欧米人に戻しましょう。前列シートのてっぺんにまで伸びた彼の脚と靴。これを見て見ぬふりをしてしまっては、何のために20年以上オカマをやってきたのだか分かりません。

 品川駅に着く手前で、私は彼らが占領するエリアへ出向き、当該アフリカ系男性の座る席の横で立ち止まりました。私が好きなタイプのマッチョ黒人です。なんと言っても、その長く逞しい脚! 通路を挟んで隣に座っていた連れの黒人男性も、見事な胸筋を際立たせるタイトTシャツと、生脚解放ショートパンツをはいているではありませんか。左を向けば生脚。右下を見ても生脚。間違いなく私の天国は東海道新幹線のグリーン車両にあったのです。

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