運動会の日程は複数の学校で重なることが普通なので、助っ人のカメラマンに業務委託して撮影を分担することが多い=米倉昭仁撮影

 今春も首都圏の入学式の撮影を頼まれた。関西から代写カメラマンを呼ばなければならないほど、人手不足は「深刻」だという。

 Xに投稿した会社は必要な人数を確保できなかった。だから、異例ともいえるXでの募集にふみきったのではないか――。そう松本さんは推察する。

Xデーは10月12日?

 写真館の経営者らで構成される日本写真文化協会は、カメラマン不足についてこう語る。

「以前から、学校行事が重なることが原因でカメラマンが不足します。最近はコロナ禍明けで学校行事が再開され、人手不足がクローズアップされているということだと思います」(事務局の澤田京一さん)

 だが、昨今の「代写カメラマン」獲得競争はあまりに苛烈だ。なんと2024年4月現在、すでに来年の学校行事のスケジュールが押さえられていたりする。

「今秋の首都圏の運動会の撮影も受けました。10月12日に幼稚園や保育園、小中学校の運動会が集中していて、いまだカメラマンを確保できていない写真館もあるようです。代写カメラマンの募集はいつでもあります」(松本さん)

 記者が求人サイトを覗いてみると、すぐに募集が見つかった。

副業も大歓迎。写真撮影が好きな方、興味がある方にピッタリなお仕事です”

“これからカメラマンとしてやっていきたい、という学生さんもご相談ください!”

 記者は長年、写真雑誌「アサヒカメラ」の編集に携わってきたが、代写カメラマン経験者の知り合いは多い。代写をメインにしているカメラマンもいる。だが、学校行事が軒並み中止になったコロナ禍をきっかけに、この業界から去った人は少なくない。

 東京商工リサーチによると、昨年1~8月の写真館などの倒産は過去最多の20件だった。以前からの苦境に加え、コロナ禍で入学式、修学旅行、結婚式などが減少し、関連支援も打ち切られたことが倒産の原因だという。代写メインのカメラマンの窮状は推して知るべしだ。

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