「学校写真を目指す若者もいますが、実際に働いてみると、あまりにもきついので5年以内にやめてしまうことが多い」と語る松本さん(仮名)

理不尽なクレーム

 保護者や教職員からクレームを受けることもある。

 クレームの定番は、「うちの子の写真が少ない」。全員をほぼ同じ枚数で撮影しても、そう責められることはある。時に理不尽なクレームもあり、卒業証書授与式で生徒の前髪が顔にかかってしまったりして再撮影になった際、教職員から「プロなのに再撮影はありえない」と激昂されたこともあった。

撮影クレジット表記はまれ

 さまざまな苦労を経て出来上がる卒業アルバムは、カメラマンにとっては成果物でもある。だが、卒業アルバム制作の最大手ダイコロの担当者によると、アルバムにカメラマンの名前が載ることは「まれ」だ。

 撮影クレジットが入らないから、学校撮影のカメラマンには提示できる作品がない。そのため「プロ」扱いされず、機材修理の割引サービスを受けられないこともあるという。

 松本さんは、それでも「学校写真の撮影が好き」だと言う。大学時代から自分を育ててくれた写真館の師匠への恩義もある。

「学校カメラマンの職務は、家庭とは違う子どもの姿を撮影し、記録すること。写真は本人の思い出になるだけでなく、保護者にとっても大切なものです。この写真文化をつないでいきたい」

(AERA dot.編集部・米倉昭仁)

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