学校だけがすべてではない。そう頭ではわかっていても、なかなか気持ちがついていかないんですよね photo iStock.com/FS

 私自身、新卒で旅行会社に就職し、転職後は国際会議の運営会社で働いていました。不登校について人前で話をするようなことになるとは、夢にも思っていませんでした。でも、あることをきっかけに私の人生が変わりはじめました。

 その「あること」とは、私自身の子どもたちの不登校です。私には3人の子どもがいますが、全員に不登校の経験があるのです。

 不登校というと、みなさんはどんなイメージを持っていますか?暗くて、重くて、お先真っ暗……。引きこもってしまって、将来は働くこともできないんじゃないか……。そんなイメージの方も多いのではないでしょうか?

 実際、一番上の息子が高校2年生で不登校になったときの私がそうでした。

 あれは、1学期の終わりごろのことでした。朝、時間になっても息子が起きてこない。「あれ?」と不安に思いつつも起こしに行くと「頭がいたい」というのです。そういう日がだんだんと増えていき、「おなかが痛い」「気持ちが悪い」といろんな不調を訴えます。そして、休んだり、遅刻したり。嫌な予感はだんだん確信に変わっていき、とうとう、まったく学校に行かない状態に……。

「まさかうちの子が?」
「だめだめ、不登校なんてみっともない。絶対に行かせないと!」
「これだけ教育に熱心にやってきたのに、不登校になったなんて恥ずかしい……」

 そんな焦りと恐怖と不安が、私を覆い尽くしました。

 戦争を経験した父に「学校は行くものだ」と育てられた私には、「学校に行かせない」選択肢はありませんでしたが、最初のうちは、「なんとか行かせたい」と思いつつ、心の中でうそだと分かっていた息子の「不調」を「うん、分かった」と受け入れ、学校に欠席の連絡をしていました。

 でも、やがて心配と焦りが心を覆いつくし、抱えきれなくなって、自分の心の叫びを息子にきつい言葉でぶつけるようになりました。「どうせまたうそでしょ」「うそばっかりついてるんじゃないの!」と詰め寄り、時には「もういい!」「知らない!」と言って突っぱねることもありました。考えることがしんどすぎて、自暴自棄になっていたんだと思います。

 そんなある日、「事件」が起こります。いえ、私が「事件」を起こしました。

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息子につかみかかった!