メキシコといえばフリーダ・カーロ。絵画だけでなく写真もたくさん見ました。美しい(写真:本人提供)

 それはさておき、日本人は外国人と友達になれるのかという問いは我が心に響いた。なぜって私のことで言えば、最近急に外国人と友達になることが増えたのだ。かつてはそんな友達など一人もいなかった。だって外国語ができないし外国に行った経験もほとんどないし、となれば知り合うきっかけも話題もゼロ。

 そして今も外国語はできない。外国に行った経験も多少増えたとはいえ多いとも言えない。それでも友達ができるのは「話題」があるのだ。

 なにも特別なことを話すわけじゃない。お互い自己紹介をするだけ。どんな仕事をしているのか、どんな暮らしをしているのか、何を憂い何を大切にしているのか。それだけで何らかの共通点が見つかる。なぜなら今や世界は互いに密接に繋がっていて、遠く離れた場所で暮らしていても誰もが同じ不安や矛盾に直面しているからだ。

 世界のグローバル化にずっと馴染めぬ思いを抱いてきた。でもその苦しみのおかげで国境を越え友達ができている。そんな時代なのである。

AERA 2024年4月15日号

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