元朝日新聞記者 稲垣えみ子

 元朝日新聞記者でアフロヘアーがトレードマークの稲垣えみ子さんが「AERA」で連載する「アフロ画報」をお届けします。50歳を過ぎ、思い切って早期退職。新たな生活へと飛び出した日々に起こる出来事から、人とのふれあい、思い出などをつづります。

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 今回のメキシコ旅はホームステイだったので、いつものエアビーを使った旅よりずっと多くの人と話をすることになった。すべての会話が印象深いものだったが、中でもハッとさせられた質問がこれ。

「日本人は、どうして外国人と友達にならないの?」

 質問の主は、交換留学で東京に半年住んでいたという30代のイケメン。え、どういうこと? と聞き返すと、東京で仲良くなった日本人と食事に行ったとき、同席した人に「彼はメキシコから来たビジター(訪問者)」と紹介されたのだという。それを聞いた彼は耳を疑った。エ、訪問者? 僕たち友達じゃなかったの?……と。

 なるほど傷ついたんですね。ごめんなさい。でもそれはたぶん友達と思ってないという意味ではなく、日本人には「友達」は少しハードルが高い概念なので、心の中で友達だと思っていても、相手がどう思っているかわからないと遠慮することがあるんだよ……とフォローしておきました。

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稲垣えみ子

稲垣えみ子

稲垣えみ子(いながき・えみこ)/1965年生まれ。元朝日新聞記者。超節電生活。近著2冊『アフロえみ子の四季の食卓』(マガジンハウス)、『人生はどこでもドア リヨンの14日間』(東洋経済新報社)を刊行

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