日赤の入社式で初出社した愛子さま=2024年4月2日、東京都の日赤本社

 メディアも活気づいている。参拝に伴っての愛子さまファッショングラビアで仔細に報じたのは女性週刊誌だ。白いスーツで三重県に入り、光沢あるシルクの白いロングドレスで伊勢神宮を参拝、翌日の奈良県は淡い水色のスーツで。そのときのバッグはゴヨウツツジ(愛子さまのお印)模様で、しかも16年に両陛下(当時は皇太子ご夫妻)と一緒に神武天皇陵を参拝したときと同じもの――これは各誌が報じていた。今回、神武天皇陵参拝時はグレーのロングドレスで、ブローチをつけていた。それも実は、22年に英国訪問した両陛下を見送ったときにつけたのと同じもの。そう報じた「女性セブン」(4月18日号)は、「ご愛用品を長く使われることが多く、『ものを大切にされるお心』が見て取れる」と書いていた。

愛子さまは安定的アイドル

 同じ服やアクセサリーを何度も着用する「着回し術」。それを皇室報道にもたらしたのは日本テレビに勤務した渡邉みどりさんだと認識している。上皇后美智子さまのファッションを見つめ続けた渡邉さんは着回しをたくさん見つけ、「ものを大切にする心」を紹介し続けた。その対象が愛子さまになった。その事実に愛子さまは皇室一の「安定的アイドル」なのだとしみじみ思う。

 安定的とは、心を乱されずに接せられるという意味だ。どういうことかを「週刊現代(4月6-13日号)」を例に説明したい。愛子さまの参拝が盛り上がったことを伝えていた。伊勢神宮へ向かう名古屋駅ですでに100人以上が出迎えていたことを、「集まった人数も警備の厳重さも天皇皇后両陛下と同じくらいでした。2015年の佳子さま、一昨年の悠仁さまの参拝では見られなかった光景です」という「皇室担当記者」の言葉を紹介して短い記事にしていたのだ。これがニュースサイト「現代ビジネス」に掲載されると<愛子さまの「伊勢神宮」参拝でわかった、悠仁さまと「決定的に違っている点」>という見出しになる。

 ネガティブ感を匂わせ、秋篠宮家の話題にする。昨今のネットを中心としたメディアの特徴の一つだ。SNS社会の肥大と眞子さん結婚への道が重なり、「秋篠宮家はバッシングしてよし」という風潮になっているのだ。

 そんなときに1人、愛子さまがいる。まっすぐに取り上げて歓迎される存在になった決定的な出来事は、20歳になっての記者会見だったと思う。幼い日には不安定さを見せた愛子さまが、賢く可愛らしい女性になったという完璧なアピールだった。陛下と雅子さまの仲の良さを表す「リンクコーデ」も、愛子さまが入ると一層華やぐ。そんな愛子さまを見ていると、皇室に関する面倒なことは忘れられる。着回しファッションを、ひたすら愛でたい。「皇室一の安定的アイドル」というのは、そういう意味だ。

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無敵じゃないか、愛子さま