「あの記者会見は失敗でした」と語るロバート・ホワイティングさん

 例えば、大手米銀のシティバンクの場合、ユーザーIDとパスワードをネットバンキングの画面に打ち込むと、スマホにワンタイムパスワードが届き、それを入力することで口座にアクセスできる。口座にアクセスすると、利用者にその旨がメールで通知される。送金時も同様だ。

「総額400万ドルが違法賭博の胴元に大谷名義で送金されたと報道されていますが、どうやって水原は大谷の銀行口座から本人に気づかれずに複数回にわたって計50万ドルを送金することができたのか。なぜ大谷は2年間もそれに気がつかなかったのか。みんな知りたがっていた」

大谷の金は麻薬カルテルへ?

 25日の記者会見で、大谷選手は「通訳が(大谷選手の)口座から金を盗み、うそをついた」「スポーツに賭けたことはない」と、スポーツ賭博への関与を断固として否定した。

 一方、質問に応じなかった大谷選手について、記者たちは「疑問点に触れていない」と厳しく指摘した。インターネットの記事には大谷選手の姿勢を疑問視するコメントが数多く書き込まれた。

「あの記者会見は失敗でした。恐らく弁護士が『核心部については語らないほうがいい』とアドバイスしたのだと思います。でも、大谷は犯罪を行ったわけではないでしょう。であれば、何も隠す必要はなく、真実を語ればよかった」

 現地メディアによると、税を所管する内国歳入庁と国土安全保障省が事件の実態解明に動いている。

 国家安全保障局とCIA(中央情報局)に勤めた経験があるホワイティングさんはこう言う。

「一般的な事件とは違って、地元警察とFBI(連邦捜査局)は捜査していません。なぜ国土安全保障省が関わっているかというと、マネーロンダリングについて調べているのでしょう」

 違法のスポーツ賭博は、メキシコの麻薬カルテルがマネーロンダリングする際に使う手段だ。そして、そこに大谷選手名義の金がまじっていると推察する。

ある小説と大谷の奇妙な共通点

 映画にもなった小説「ザ・ナチュラル」の主人公ロイ・ホブスと大谷選手はそっくりだとホワイティングさんは言う。「ナチュラル」とは「天性の才能の持ち主」の意味である。

 ロイは小麦畑が広がるネブラスカ州で野球の腕を磨き、やがて大リーグで天才選手と呼ばれて活躍する。ところが、そこに野球賭博の影が忍び寄る、というストーリーだ。

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