タイコー代表取締役の三村悦久さん。歩行は日々の生活で必ずする。その時間を有効活用しようと足におもりをつけ始めた。筋トレも仕事も小さな努力の積み重ねが実になると実感(撮影/羽根田真智)

 メンタルにも効く自己啓発としての筋トレが注目されている。身体以上にメンタルに効くという筋トレ効果について、筋トレ民たちに聞いた。AERA 2024年4月1日号より。

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 健康関連商品の輸入販売会社を経営している女性(53)は、「筋トレなしでは仕事が回らない」とまで感じている。エナジードリンクを飲むよりはるかに頭の回転が良くなる。手足がポカポカし、倦怠感が消える。どんなに忙しくても、いや、忙しいからこそ、短い時間でもいいからジムに行く。更年期に入るまでは「ジム=ダイエット」で、嫌々行っていた。いまや、目的が全く変わった。

 笹川スポーツ財団「スポーツライフに関する調査報告書」(2000~2022)によると、年1回以上の筋トレ実施率(20歳以上)は2000年(7.3%)から2020年(17.6%)まで右肩上がりに上昇。コロナ禍を経た2022年では15.9%と減少に転じたものの、2000年と2022年で比較すると筋トレ実施人口は全体で2倍以上増加。男女別では男性で約2倍、女性約3倍になっている。

ポジティブ思考に

「ポジティブな思考回路が出来上がった。たとえネガティブな攻撃を受けてもはね飛ばせる」

 こう言うのは、情報通信の設計・施工などを行う「タイコー」代表取締役の三村悦久さん(54)。創業者の父親から経営を引き継いだ2年目。業績が落ち、社外役員から「来年も同じなら役員総入れ替え」との通告を受けた。同時期、大腸にポリープが三つ見つかり切除。父親からは「健康管理も社長業の一つ」と言われた。当時1歳と3歳だった息子の存在も後押しとなり、体幹トレーニングができるジムに入会。それから7年。出張、接待、家庭サービスで忙しい合間を縫い、ジムに通っている。日頃から筋力を鍛えるため両足におもりをつけて、ゴルフや息子とのジョギング中も外さない。

 ジム仲間はほぼ年下。率先してトレーニングに勤しむ三村さんの愛称は「隊長」だ。40キロのケトルベルでショルダープレスをしている三村さんに、30歳近く年が離れたコーチが負けじと挑んでくることもある。学生時代のスポーツのように大会優勝を目指すわけではなく、ひたすら自分に向き合うのが筋トレ。目の前の壁にチャレンジし乗り越えることの繰り返しで、自信がついた。息子の友達やパパ友から「ターくんパパ、筋肉すごい」と言われるのも、照れつつ誇らしい。

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