多分、日本プロレスの芳の里さんが俺と同じ二所ノ関部屋の出身だから、彼にかわいがられたカブキさん、(グレート)小鹿さん、大(元司)さん、桜田(一男)といった系統の人たちが何くれとなく声をかけてくれたんじゃないかな。

 大熊さんとはよく飲んだけど、あの人はいつも二、三升は飲んでいたね。大きな声を出すわけでなく、暴れるわけでもなく、じっくり腰を据えて冗談を言いながら飲むのが好きだったよ。逆に小鹿は飲むとくどくなる(笑)。口数が多くなって、昔話とか説教に近い話が出てくるから、三沢(光晴)とか川田(利明)とか、越中(詩郎)は結構嫌がっていたんだじゃないか(笑)

 ほかの俺より先に全日本プロレスに入った、渕(正信)や大仁田(厚)、肥後(宗典)らとは口もきかなかったが、俺の練習にだけは、ああでもない、こうでもないって口を出してきてうるさかったよ(笑)

 そんななか、カブキさんが教えてくれたことをリングで一緒に練習してくれたのがハル薗田だ。彼も俺より先に全日に入ったのに、本当によくしてくれて、よく話もしたよ。いつもウェルカムで、試合のことも教えてくれた。フランクでどんな人にもわだかまりなく接する、本当にいい人で、ジャイアント馬場さんからもかわいがられていたよ。

 薗田は顔がゴリラみたいだからゴリちゃんってあだ名だったんだけど、一時期、マスクをかぶってマジック・ドラゴンとしてリングに上がっていたことがあった。その姿を見たうちの女房が「カッコいい! 本人はどんなに男前なの!?」って色めきたっていたんだけど、素顔を見て、まあ、驚いていたよ(苦笑)。

 家族の話で言えば、俺も女房も膝付き合わせてかしこまって話すのが苦手だから、どっちかが一方的にしゃべっていることがほとんど。女房もしゃべりたがりだから、膝付き合わせた状態で俺がしゃべっていると「あんた、それは」ってああだ、こうだ言い返してきて、俺が「うるせえ!」ってなるからね。女房もそれがわかっている(笑)。

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女房はいつもいいところで