でも、女房はいつも俺の話を聞いて、ちょうどいいところで適当にいい答えを出してくれんだよ。彼女は客商売もしていて、俺よりも人生経験がはるかに豊富だからね。俺の人生経験はだいぶ偏っているから、補い合える関係だ。

 30代後半になって、楽ちゃん(三遊亭円楽、当時楽太郎)たちとようやく気楽な感じで付き合えるようになったね。それで銀座の「鮨処 おざわ」の親父や、楽ちゃんの友達だった仲間とよく飲むようになったんだ。

 楽ちゃんは芸人だし、他のみんなも経営者でいろんな人と付き合いが多くて、自分が知らない世界の話をあけっぴろげにしてくれるから、それを聞いているのが楽しかったよ。ほとんどがお姉ちゃん関係の話だったと思うけど、楽しい時間だったね。

 今の話し相手はもっぱら娘だ。俺がプロレスの話題にしか食いつかないから、ずっとプロレスの話しかしていない(笑)。まあ、現役時代は父として、プロレスで金を儲けて子どもにもいい恰好をさせてやろうという思いも強かったから、娘もプロレスの話しかなくなっちゃったね。やっぱり悪口が多いけど、罵詈雑言が俺の元気の源だからしょうがないか(笑)。

(構成・高橋ダイスケ)

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