創志学園の門馬敬治監督

 3月18日に開幕する第96回センバツ高校野球。出場校が発表された時点で各スポーツ紙がA、B、Cの3段階でチーム力を評価するのが恒例となっているが、主要5紙がA評価をつけた高校は以下の通りとなっている(スポーツ紙は日刊スポーツ、スポーツニッポン、スポーツ報知、サンケイスポーツ、デイリースポーツの5紙)。

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A評価5紙:作新学院(栃木)、星稜(石川)、大阪桐蔭(大阪)
A評価4紙:広陵(広島)
A評価2紙:青森山田(青森)
A評価1紙:八戸学院光星(青森)、健大高崎(群馬)、関東第一(東京)

 これを見てもA評価が5紙と4紙の4校が第1グループ、A評価が2紙と1紙の4校が第2グループという見方ができそうだ。ただこの評価はあくまでも昨年秋の戦いぶりからのものと考えられ、また今年は新基準の金属バット導入や投手の二段モーション解禁といったルール変更もあり、例年以上に読みづらい大会であることは間違いない。そこで今回はA評価こそつかなかったものの、頂点を狙えそうなダークホース的存在になりそうなチームを探ってみたいと思う。

 まず挙げたいのが1回戦で対戦する愛工大名電(愛知)と報徳学園(兵庫)の2校だ。愛工大名電は昨年秋の東海大会では決勝で豊川(愛知)に敗れ、序盤に大量リードを許した展開から東海地区では3番目という評価での出場となったが、チームとしての総合力は非常に高い。中でも打線は昨年夏の甲子園に出場している石見颯真(新3年)、宍戸琥一(新3年)や右の強打者である石島健(新3年)など力のある打者が揃い、昨年秋の東海大会でも3試合で24点をたたき出している。投手もエース左腕の大泉塁翔(新3年)は安定感があり、しっかり試合を作ることができるのが強みだ。入学時から大器と評判の伊東尚輝(新3年)、古谷龍斗(新3年)の2人の投手が調子を上げてくれば、十分に上位進出も狙えるだろう。

 一方の報徳学園は昨年準優勝を経験した間木歩(新3年)、今朝丸裕喜(新3年)の投手2人の存在が大きい。さらにこの冬の間に星山豪汰(新3年)も力をつけており、投手陣の層の厚さは大会でも屈指だ。特に今朝丸は10日の練習試合で151キロをマークするなどドラフト候補としても注目度が高い。昨年のチームに比べると少し得点力は落ちる印象だが、手堅い守備や機動力も備えており、2年続けての上位進出の可能性もありそうだ。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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