多くの選手を保有できる資金力があり、"日本一のファーム環境"があるとはいえ、アマチュア時代にはそこまで評価が高くなかった選手を“一流”にまで押し上げる育成力は見事というほかない。
一方、育成出身選手の頑張りが目立つ中で、ドラフト1位指名の選手の不甲斐なさが際立つ。理由としては様々あるが「野球技術はもちろん人間性を含めたトータル面で評価して獲得できていないのだろう」と語るソフトバンクOBもおり、スカウティングの時点での問題を指摘する声もある。
昨シーズンのオフも“元ドラ1”の高橋純平投手(2015年、以下カッコ内の年数はドラフトで指名された年)と佐藤直樹外野手(2019年)が戦力外(佐藤はのちに育成契約)になったのに加え、甲斐野央投手(2018年)はFAで加入した山川穂高の人的補償として西武へ移籍となった。
「アマチュア時代の野球漬けの反動か、プロ入りしただけで満足してしまうのかもしれない。またドラフト1位の選手は多額の契約金などもあり生活に困らない。(ソフトバンクの)ファーム施設は福岡市内から高速道路で30分ほどの便利な場所で遊ぶのにも困らない」(ソフトバンク担当記者)
競争が激しく、充実した育成環境の中で逆に押し出されてしまう“ドラ1”も多いが、他球団へ移籍したことで人が変わったように活躍をする選手もいる。戦力外から阪神に移籍した加治屋蓮投手(2013年)、近藤健介外野手の人的補償で日本ハム移籍した田中正義投手(2016年)の活躍は記憶に新しい。
「加治屋は阪神の一軍と二軍の扱われ方の違いを痛感しただろう。田中は北海道から遠く離れた千葉県鎌ヶ谷市に長居したくないと思ったはず。野球選手は考え方や取り組み次第で大きく変わる。2人にとっては本当に良かった」(ソフトバンクOB)
ここ4年は高卒選手をドラフト1位で獲得しているソフトバンク。まだ、結果を求めるのは早いが「大丈夫か?」と思わせているのが鳴り物入りで入団した3年目の風間球打(2021年)だ。プロ1年目の右肘故障リハビリ期間中に出会い系アプリやSNSで知り合った女性との外出が発覚するなど、グラウンド外で話題となってしまった。昨年に戦力外となった高橋純平も女性問題があっただけに、心配な部分も多い。