広島・二俣翔一(写真提供・広島東洋カープ)
この記事の写真をすべて見る

 開幕まであと約3週間となった今年のプロ野球。ここから主力選手の出場機会が増え、開幕レギュラー、一軍入りへ向けての争いも最終段階を迎えることになるが、過去の例を見ても意外な選手が台頭するケースも少なくない。昨年も育成ルーキーの茶野篤政(オリックス)が開幕スタメンをつかみ、シーズン序盤は外野のレギュラーとして活躍を見せた。そんな急浮上が期待できるレギュラー候補を探ってみたいと思う。(文中の成績は3月7日終了時点)

【写真】「2億円」が「400万円」に急降下 球史に残る“大減俸”を味わった選手がこちら

 まずセ・リーグで面白い存在となりそうなのが高校卒2年目の松尾汐恩(DeNA)だ。ルーキーイヤーの昨年は一軍での試合出場こそなかったものの、二軍ではチームトップとなる376打席に立ち、打率.277(規定打席以上でチーム2位)、7本塁打(チームトップタイ)、51打点(チームトップ)の成績をマーク。守備面でもバッテリーを組んだバウアーから称賛のコメントが出るなど、ルーキーとは思えない落ち着きぶりを見せた。

 このキャンプでも2月21日の広島との練習試合では代打で出場してタイムリーを放つと、23日のヤクルトとの練習試合でも途中出場で2打数2安打を記録。さらに翌日の日本ハムとのオープン戦でもいきなりホームランを放つなど強烈なアピールを続けている。チームの正捕手争いは侍ジャパンの強化試合にも招集された山本祐大が一歩リードしており、戸柱恭孝、伊藤光のベテラン2人も健在だが、いずれも決め手に欠ける印象は否めない。

 萩原龍大チーム統括本部本部長も、昨シーズン終了時に「優勝は今の延長線上にはない」と語っており、その発言を聞いても球団としてチームを大きく変えようという意識が感じられる。その象徴的な存在として、思い切って松尾を抜擢するという可能性もあるのではないだろうか。首脳陣がどう判断するかに注目だ。

 セ・リーグで昨シーズン2位の広島では二俣翔一と久保修の2人を挙げたい。二俣は2020年の育成ドラフト1位で捕手として入団したが、打撃を生かして2年目に内野手に転向すると、そのオフには支配下登録を勝ち取った。3年目の昨年は二軍でチームトップの94安打を放ち、あらゆるポジションを守るなど成長ぶりを見せている。このキャンプでも一軍に帯同し、対外試合では4試合連続ヒットを放つなど好調ぶりをアピールした。チームのサードは新外国人のレイノルズが任せられると見られていたが、ここまで対外試合4試合で1安打と調子が上がっていないことを考えると、二俣にも十分サード定着のチャンスはありそうだ。

著者プロフィールを見る
西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

西尾典文の記事一覧はこちら
次のページ
巨人のルーキーもいきなり定位置確保?