山本直樹被告(ツイッターから)

 拘置所での取材で山本被告は、ALS嘱託殺人事件について、

「私は犯行の日、京都にいる患者さんの診察に行く予定があった。それを大久保に伝えたら、『その日、京都で手伝ってほしいことがある』と連絡がきました。待ち合わせて向かったのがAさんのマンションでした。10分ほどですかね。スマホをいじっていると、大久保が動き、手慣れた様子で胃ろうに何かを入れたのが見えました。すると、大久保はすぐに、顔色一つ変えずに『帰ろう』と言うのでマンションを出ました」

 その後、京都駅から東京に向かう新幹線に乗ったという。

「私は女性患者の名前も知らず、いったい何の用件だったのか大久保に聞くと、『キミは知らなくていい』と。変だと思い、さらに聞くと『薬物を入れた』と言いました。薬の種類を詳しく聞くと、危ない薬物で、『そんなことして大丈夫なのか』と問い詰めると、『朝になると死んでいる。もう死んでいるかも』『主治医は自然死と判断するから心配するな』と言ったので、“安楽死”をやったんだと確信しました」

山本被告に送り続けた「殺害マニュアル」

 山本被告は、大久保被告が繰り返しメールで送りつけてきた【医療に紛れて殺害マニュアル】という文書を思い出したという。19年11月に大久保被告が山本被告に送信したもので、マニュアルは大久保被告の裁判でも証拠採用されている。

 山本被告はそのマニュアルを手書きで写し、概要を記してくれた。

<第1章 病院で死ぬということ 病院のセキュリティ 点滴編 酸素編 毒殺編>
<第2章 在宅医療という無法地帯>
<第3章 死にカタログ>
<第4章 ボケたら最強>
<第4章(ママ) 薬を使わない死なせ方 家庭料理で死ぬ ヒートショック 首絞め テクニカル・ルーティーン>
<第5章 警察フリーの死体処理>
<第6章 自分の人生を生きろ>

 第1章の「病院のセキュリティ」では、

<(病室に)カメラが設置されていても、作動しているかは別問題。プライバシーの侵害だと訴えられ裁判で負けた例がある。同意書にサインしないとカメラは使えない。仮に事件が起きたとして、警察に証拠を提出しようにも、そもそもデータが残っていないのだから不可能としか言いようがない。こうしたことで、密室である病室だからこそ安心して「仕事」に励むことができるというわけだ>

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