老舗企業で頭角を現す女性たち

 伝統的な企業でも女性がかじ取りする姿は、若い人たちの励みになる。

 JR九州取締役常務の赤木由美氏は早稲田大第一文学部出身。JR九州に入社後、広報、営業、経営企画部門を担当し、12年にJR九州ファーストフーズの社長になった。JR九州グループで初の女性社長である。その後、JR九州人事部長、本支社長、上席執行役員などを経て、23年に取締役常務となった。社内での評価は高い。「その実績、能力とともに、人格、見識とも優れており、ESG経営、JRの強化やグループ全体の経営戦略の推進、DXの推進等を通じて当社グループの企業価値の向上及び持続的なモビリティサービスの構築に中心的に力を発揮するとともに、取締役会における議論にその知見を反映することを期待し、取締役候補者といたしました」(JR九州第36回定時株主総会の案内)

  ホッピービバレッジ社長の石渡美奈さんは立教大文学部を卒業後、日清製粉に入社したのち、広告会社でのアルバイトを経て祖父が創業したホッピービバレッジに移った。広報宣伝担当、副社長などを経て、2010年社長に就任。石渡氏はこう記している。「私が大学生の頃は、まだ『女性が経営者なんて』という時代。卒業後は別の会社に就職したものの、27歳のとき、やはり家業を継ごうと覚悟を決めました。父に嘆願したら『お前には無理だ』と一蹴されたのですが、1年かけて説得して入社。以来、自ら広告塔『ホッピーミーナ』と名乗って積極的に広報活動を行うなど、業界の異端児と言われながら歩んできました」(季刊「立教」254号〈20年11月〉)

新ビジネス、起業にも女性の躍進がみられる

 一方、新しいビジネスに挑戦し、起業する女性たちがいる。

 コスメ商品を販売するDINETTEを経営する尾崎美紀氏は、中央大総合政策学部在学中、芸能界で活動していた。ヘアメークをしてもらった経験がきっかけとなり、美容にのめりこんでしまい、美容関連の会社を作った。

 香りのブランド「whitte」を立ち上げた白石小百合氏は法政大国際文化学部卒業後、テレビ東京アナウンサーとして活躍した。その後、起業する。その理由についてこう記している。「香りの力に目覚めたのはアナウンサーとして局に勤め1~2年後、声が出なくなり味覚がなくなってしまった際に、香りを学んだことで感覚が戻った経験から。心と体、感性と感覚は繋がっていると確信。その後、フランスと日本でそれぞれ調香師に師事し、さらに独学で学び、ブランドを立ち上げる」(Whitteウェブサイト)

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