オープン戦も全日程を終えた3月27日に日本ハムへの電撃移籍が決まったのが、2006年の巨人・岡島秀樹だ。

 01年に25セーブを記録し、6年連続40試合以上に登板するなど、リリーフ左腕としてフル回転していた岡島は、06年シーズン中のFA権取得を前に、「FA取っても巨人に残留しよう」と“生涯巨人”を貫くつもりだった。

 ところが、3月23日のオープン戦(ヤクルト戦)を終えて帰宅後、「さあ、これから開幕だ」と気持ちを切り替えた矢先、球団から「明日事務所に来てくれ」と電話が入り、翌朝、日本ハムへの移籍を告げられた。捕手の実松一成、内野手の古城茂幸との1対2の交換トレードだった。

 日本ハム・高田繁GMが「左投手は1枚でも2枚でも必要」と岡島に白羽の矢を立て、控えの捕手と内野手の充実を図りたい巨人が応じた形だ。

 だが、岡島は「巨人は僕を必要としなくなった」という現実にショックを受け、しばらく落ち込んでいたという。そんな心の葛藤も、「どこへ行っても野球に変わりはない。また違った環境で野球ができるのだから、楽しまないとな」と桑田真澄に励まされたことで踏ん切りがつき、「巨人を見返してやる」と決意も新たに日本ハムの一員になった(自著「挑戦すれば道は拓ける どんな逆境にもへこたれない僕の生き方」 秀和システム)。

 そして、新天地では、「おお!来たな!」と大歓迎してくれた新庄剛志や北海道のファンの「頑張れ!」の声援に元気づけられ、55試合登板、2勝2敗4セーブ20ホールド、防御率2.14の好成績で日本一に貢献。同年オフにはFA宣言してレッドソックスに移籍するなど、「あのトレードがあったからこそ、野球を通じていろいろな経験ができました」と今でも感謝の気持ちを持ちつづけている。

 春季キャンプ終了直後に異例の同一リーグのトレードとして話題を集めたのが、2021年3月1日に成立した巨人・田口麗斗とヤクルト・広岡大志の交換トレードだ。

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