貴族たちが日よけや目隠しのために用いていた簾。葦や竹ひごなどで作られ、「御簾」と呼ばれた イラスト 夏江まみ

 特に邸宅で過ごす女性たちは、男性に覗かれないよう、御簾で覆った部屋の内側で暮らすのが基本。『源氏物語』でも御簾がめくれ上がって女性の顔があらわになるエピソードが描かれているが、窓や扉がないのでそんな突発的な「事故」も起きてしまうのだ。女性たちは事故を防ぐべく、部屋の中にも目隠し用の屏風を置き、その内側に生活道具を並べて過ごしたという。

 また、この時代は、女性も男性も床での生活だった。床には「座臥具(ざがぐ)」という座布団のような敷物や「厚畳(あつたたみ)」、物を片付ける「唐櫃(からびつ)」などが置かれた。この床文化は、明治時代まで続いていく。

(構成 生活・文化編集部 上原千穂 永井優希)

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