無理なく蓄えを増やしていこう。©gettyimages

 このため横山さんは、投資をする際には、蓄えがいくらあるか、さらにこの先、結婚子育て教育、住宅や自動車の購入といったまとまった額が必要なライフイベントをあらかじめ想定し、今後10年くらいの間に使う予定がある分は蓄えとして確保したうえで、それ以外の余裕のある範囲内で行うべきだと指摘する。

 また、投資枠をフルに利用しようと考えて、まとまった額を一気に投じると、場合によっては商品の価格が高い時に買ってしまう「高値づかみ」に陥る恐れも大きくなる。

 一般的に、定期的に一定の額ずつ投資をしていくと、長期的にみて利益が上がりやすくなるという「長期分散効果」が知られている。値段が高い時には少ししか買えないものの、安い時には多く買える。加えて、長い間にリスクもならされると考えられているためだ。

相場は高値圏

 特に今は日経平均株価が史上最高値に迫り、米国の代表的な株価指数であるダウ平均株価やS&P総合500種が史上最高値の更新を続けるなど、相場は高値圏にある。いつもよりも高い値がついている商品が多いと考えておいた方がいいかもしれない。

 横山さんは言う。

「投資枠を一気に埋めてしまった後に、相場全体が落ち込むような金融ショックが起きる可能性もゼロではありません。一度に大きな額を投じた場合は、損をするリスクはより大きくなりますし、安くなったタイミングで買いを入れるといった戦略も取りにくくなってしまう。選択肢を増やす意味でも、投資枠には余裕を持たせておいた方がいい」

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