投資には自分の資産のうち、どのくらいを充てたらよいか。

「目安としては、まず、少なくても手取りの月収の7.5カ月分は手元に用意しておくようにしましょう。生活費の不足に備えた1.5カ月分と、病気や事故などで働けなくなった時の6カ月分という考え方です。自営業者だったり、退職を考えていたりする人などは、もう少し多い方がいい」(横山さん)

 月収7.5カ月分は手取りが20万円なら150万円、30万円なら225万円、40万円なら300万円。すぐに貯められる額ではないが、横山さんは「月収の6分の1」の額を目標として、無理なく蓄えを増やしていくべきだと話している。

逆算して考える

「基本は毎月の家計から貯金のため月収の6分の1を確保するようにし、貯め続けて月収7.5カ月分の貯金を用意できたなら、そこで投資を考えるのがいいのでは。手元に十分なお金がない状態で投資に踏み出してしまうのは、とても怖いことです」(同)

 投資にあたっては、必要な額から逆算して考えるとよいという。

「今後必要となる金額なり、目標とする額なりをあらかじめ見積もったうえで、どんな商品をどれだけ買ったらいいかを考えるようにしましょう。今人気の投資信託『eMAXIS(イーマクシス)Slim全世界株式(オール・カントリー)』(オルカン)だけを買えば十分な人もいれば、ほかの商品を買った方がいい場合もあり、人によって事情は異なります。投資は正解があるようにも、ないようにもみえる世界です。正解がある場合も一つではありません。逆算をするようにすれば、自分に合ったタイプの商品や投資法が見えてくるでしょう」

(AERA dot.編集部・池田正史)
 

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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