余裕のある範囲内で行うべき。写真はイメージです©gattyimages

 投資から得られた利益に税金がかからない新NISA(少額投資非課税制度)が始まり、投資熱が高まっている。新NISAでは非課税となる投資枠が大幅に増えた。身の丈を超えて積極的な運用をすれば、生活費が足りなくなったり、せっかく訪れたチャンスを逃したりする心配もある。いきなり投資枠を埋めることの注意点や、自分に合った投資をするための心構えを専門家に聞いた。

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 新NISAは非課税になる投資枠は「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の二つがある。

 このうち、投資信託の運用が可能なつみたて投資枠は年最大120万円、投資信託のほか個別株や上場投資信託(ETF)、不動産投資信託(REIT)などより幅広い商品が買える成長投資枠は同240万円が非課税で運用できる。
 二つの投資枠を合わせて年最大360万円、生涯では1800万円まで非課税で投資できる。

 ただし、従来のNISAよりも大幅に有利になったことで、最初から投資枠の上限いっぱいを使おうとして、必要な資金まで投資に充ててしまうケースも見受けられるという。

生活に支障

 ファイナンシャルプランナーの横山光昭さんは言う。

「新NISAの投資枠を目いっぱい使うと年間で最大360万円、月あたりでは30万円。家計にとってはかなりの金額です。例えば数千万円の蓄えがあるような余裕のある人なら、上限まで投資に充てても問題はありません。でも家計は毎月収支がトントンで、貯金が500万円程度しかないような場合、貯金から投資ができるからといって、上限の360万円を投じてしまうと手元には140万円しか残らず、生活に支障が出かねません」

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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