東京都の小池百合子知事=2024年2月8日

 自民党としても票が取れる、選挙の顔になる候補者を選ぶでしょう。今回の政治とカネの問題で排除された安倍派や、岸田政権ができてから冷や飯を食わされている二階派、岸田首相に引導を渡された前首相の菅さんらが、岸田降ろしを仕掛けてくるかもしれない。その中で、小池さんを立てていくという可能性はあると思います。

 小池都知事が維新や、前原氏と政策的なパーシャル(部分)連合をつくって、しかけてくる可能性もあります。

――岸田首相も次の自民党総裁の座を諦めていないように見えます。

 総裁選の再選戦略を考えていると思います。岸田首相は自身の派閥でも裏金問題を抱えました。岸田首相は自分の派閥の会計責任者が立件されて焦ったと思いますが、派閥解散に打って出ました。「政治とカネ」の問題から「派閥の是非」に論点が移り、派閥解散に乗り出した岸田首相が評価されるような雰囲気すらできました。政治とカネの問題について、総裁としてまったく責任をとっていないのにもかかわらずです。

 また、派閥を解散させることで、岸田首相は無派閥の全員を束ねる最大勢力の長になれたわけです。これまでは派閥が力を持っており、選挙の際の「公認」についても派閥の長に頭を下げる必要がありましたが、今後は総裁の岸田首相に頭を下げる必要があります。

 岸田首相は衆院山口3区でこれまで当選を重ねてきた河村建夫元官房長官を公認せず、岸田派で参院からくら替えする林芳正氏への公認を決めた過去があります。岸田首相の公認権が強化されたとなれば、岸田降ろしもより難しくなるでしょう。

 政治とカネの問題で苦しい状況のなか、岸田首相の表情が明るく、笑顔がたびたび見られるのは「うまく立ち回った」という心の内を物語っているのだと思います。

 また、岸田首相は所得税の定額減税に強くこだわっていましたが、減税の実施は6月です。1人あたり4万円の減税が行われて、岸田首相の支持率が上向く可能性があります。

次のページ
野党はどうするべきか