――京都市長選では共産系の候補者が自民・立憲が推薦する候補者を追い詰めました。立憲が共産系の候補を支援していたら、どうなっていたでしょうか。
今回は共産が支援する福山氏が約16万1千票を獲得し、当選した松井氏(約17万7千票)を追い詰めました。共産系の候補者がここまで追い詰めるというのは近年にはありません。既存政治に対する批判票が集まったということだと思います。立憲と共産が共闘できていたら、結果は違っていたかもしれません。
朝日新聞の出口調査によると、立憲支持層の47%が、自民・立憲などが推薦した松井孝治氏に投票した一方で、35%が共産が支援する福山和人氏に投票していました。立憲支持層の間では松井氏の推薦に違和感を覚える人がいたということだと思います。
他方で、京都では長年、与野党が相乗りで候補者を擁立し、「非共産対共産」の構図をつくってきた経緯があります。それに対する新しい勢力として出てきたのが、維新や前原氏、国民らが推薦する村山氏でした。京都で野党共闘という雰囲気ができなかった要因はこういった経緯にあります。
国政では自民に代わる新しい政治勢力を描けていませんが、維新らを中心に京都では新しい政治のあり方が出来つつありました。しかし、村山氏がそれを壊してしまいました。村山氏の“罪”は重いと思います。
――野党共闘は進むでしょうか。
国政では政治とカネの問題が噴出し、バラバラだった野党が一致団結して行動がとれるようになっています。それを受けて地方でも野党が共闘する下地が整いつつあると思います。
東京の杉並区でも自民党がずっと勝ってきた地盤ですが、2022年に野党共闘で岸本聡子さんが初の女性区長に当選しました。ここでも既存政治を変えてくれるのではないかという期待が岸本氏の当選につながったと言われています。こうした雰囲気は各地で強まっており、簡単には変わらないでしょう。
他方で、関西を中心に既存政治に対抗する勢力として維新の存在があります。維新が共産と組むことはないので、野党共闘ができません。前橋市で野党共闘ができて、京都市でできなかったのは、維新がいるかいないかの問題もあると思います。