――その他に前橋市と京都市の選挙で見えてきたものはありますか。

 無党派層の動きが重要なキーポイントとなったと思います。前橋市も京都市も「都市型」と呼ばれる選挙区になります。都市型の選挙区では、一定の無党派層が出てきます。彼らは世論の動きによって投票先を決めていくところがあります。

 前橋市では無党派層が一番投票していたのは当選した小川氏でした。京都市では無党派層が共産党系の福山氏に投票していました。共産系の候補がここまで追い上げた要因は、ここにあります。無党派層が選挙の行方を決めたということです。

前橋市長選で当選確実となり、バンザイをする小川晶氏=2024年2月4日

 4月に行われる予定の3つの補選(衆院・東京15区、島根1区、長崎3区)でも無党派層の動きが勝敗をわけてくると思います。

――今後の選挙で注目しているものはありますか。

 4月の衆院3補選は当然ですが、あとは7月の東京都知事選です。

 東京では自民系候補の敗北が続いていましたが、昨年12月に投開票された江東区長選では自民などが推薦する大久保朋果氏が当選しました。小池百合子都知事が前面に出て支援し、自民色を抑えていました。

 今年1月に実施された八王子市長選でも自民らが推薦する初宿和夫氏が当選しました。八王子は自民党の萩生田光一前政調会長の地元で、かなりの逆風が吹いていました。ここでも小池都知事が応援に駆けつけ、接戦の末、勝利を収めています。小池都知事が来なければ、初宿氏は負けていたかもしれません。小池都知事が萩生田氏に恩を売ったかたちです。

 両選挙を私は見に行きましたが、小池都知事の影響力は東京ではやはりあるな、と感じました。小池都知事は希望の党の立ち上げのときは失敗に終わりましたが、このまま都知事として終わろうとは考えていないと思います。江東区・八王子市の選挙の応援に行ったのは、その表れだと見ています。「初の女性首相」もまだ視野に入れているでしょう。

 都知事選となれば、キー局が放送しますので、全国にその雰囲気が伝わることになります。都知事選が近づいてきて、小池都知事が「私は出ない。国政に出る」などと言えば注目が集まるでしょう。当然、「いまの政治の閉塞感を打破する」という立場で出てくる。再びメディアがジャックされて、小池劇場が始まるかもしれません。

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