三本柱の一人にしてキャプテンを務めた伊地知賢造(国学院大)は、開催中止となった1年時の出雲を除いて4年間の三大駅伝全レースに出走した。その中で、出雲では2年時に5区2位、3年時に6区2位で走り、全日本では2年時から3年連続で8区を走って区間賞、2位、2位と貫禄の走りを見せた。だが、箱根に限っては結果を残せず。1年時の8区9位から2年時の2区12位、3年時の5区7位と期待値以下の結果が続くと、最後の4年時は1区出走も区間17位だった。間違いなく世代トップの力を持っていたが、不思議なほど箱根との相性は悪かった。卒業後は石井一希(順天堂大)、志貴勇斗(青山学院大)と同じヤクルトへ進む。

 4年前の都大路を制したのは吉居大和を擁する仙台育英高だったが、僅差の2位だったのが倉敷高であり、その中心が石原翔太郎(東海大)だった。その勢いのまま、1年時には全日本で4区を走って区間新、箱根でも3区で区間賞とインパクト大の鮮烈デビューを飾った。だが、その後は苦戦続き。2年時は故障で長期離脱を強いられてチームも箱根のシード権を逃した。3年時は全日本で3区区間賞の後、箱根でも2区4位と好走したが、4年生となって迎えた最後の箱根は7区で区間15位と振るわなかった。卒業後は、佐藤一世(青山学院大)と同じSGHへ入社する。

 こうして振り返ると、高校時代に活躍していた面々がそのまま大学生活を“謳歌する”訳では決してなく、特に箱根は特有の難しさがある。そしてその事実は、箱根で活躍した面々の社会人となって以降の伸び悩みにも共通する。その流れが大迫傑以降変わりつつあることは確かだが、果たして今春卒業の世代から「世界」へと羽ばたくランナーが出てくるのか。トヨタ自動車に入社する吉居大和、湯浅仁(中央大)、鈴木芽吹らも含めて、今後の活躍に期待したい。

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