腹部の手術のために1月16日から入院していたキャサリン妃。すでに退院し、英南部の自宅に戻ったことを英王室が明らかにした。「回復傾向にある」という(写真:アフロ)

 そんな経緯があるので、キャサリン妃の入院、手術という事態に、少なからずショックを受けた。どんな経緯で病に至ったのかはわからない。だが、彼女でさえ病を得る。であれば、日本はなおのこと……そんなふうに思ったのだ。継承の問題があるから余計だ。

 英国では13年、ウィリアム王子とキャサリン妃の結婚をきっかけに、「王位継承法」が改正された。「男子優先」の長子相続から「男女を問わない第1子」の相続になった。22年9月、エリザベス女王の死去によりチャールズ皇太子が新国王になり、ウィリアム王子が継承順位1位、その長男ジョージ王子が2位となった。3位は長女シャーロット王女、4位は次男ルイ王子だ。

 雅子さまは「男系男子」の重圧から「適応障害」という病を得た。「愛子天皇」を期待する国民の声は、マスコミ各社の世論調査でも明らかだ。それなのに、昨年11月に自民党が本格的に検討すると言い出したのは、「旧皇族の男系男子の皇族復帰」だった。そんな国にいるから、なおのこと英国が明るく見えた。それなのに……英国からのニュースが他人事と思えない。

 紀子さまに話を戻す。1月23日、秋篠宮さまが日帰りで福岡県を訪問した。当初は紀子さまも一緒で、1泊の予定だったそうだ。そうだとすると、体調の良くない紀子さまを心配しての予定変更なのだろう。秋篠宮さまは良き夫だなー、と少しほっとする。

皇族として自覚と誇り

 3日後の26日、紀子さまが東京都豊島区で開かれている「関東東海花の展覧会」に足を運んだ。秋篠宮さまと佳子さまも一緒だった。佳子さまは「両親と仲が悪い」というのが、SNS上では常識になっている。年ごろの娘が親に反発するのは普通のことだし、このように共に“家業”にいそしんでいるのだから、何の問題もないのでは? と、これは「元・年ごろの娘」の個人的な感想だ。

 佳子さまはこの4日前の22日、「聴覚障害児を育てたお母さんをたたえる会」にお一人で出席、挨拶に立った。手話を使いながらの挨拶で、冒頭に能登半島地震で亡くなった人々に哀悼の意を表した。とても堂々としていた。この日に限らず、最近の佳子さまからは、皇族としての自覚と誇りがあふれている。皇室のあれこれを思うと、とてもうれしい存在だ。

 22年に亡くなった皇室ジャーナリストの渡邉みどりさんが著書に何度となく書いていたのが、「娘は母の作品」という言葉だった。上皇后美智子さまと同い年の渡邉さんだから、その言葉は美智子さまと母の正田富美子さん、娘の黒田清子さんを見てのものだ。この言葉に接するたび、「子どもの美点は親の美点」ということだと理解してきた。

 昨今の佳子さまの凛々しさを見るたび、少し古めかしいこの言葉を思い出している。

(コラムニスト・矢部万紀子

AERA 2024年2月12日号

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