麻生太郎副総裁(左)と茂木敏充幹事長(右)=2023年12月11日、国会内

 茂木氏は1月29日の記者会見で、茂木派について「いわゆる派閥としては解消する」と述べた。「カネと人事」から決別するとした、党の政治改革に向けた中間報告を意識したとみられるが、「政策集団」という形で外枠は残す方向だ。

 それに加えて、茂木氏が簡単に派閥を解散できない背景には、第2派閥を率いる麻生太郎副総裁との関係もある。茂木氏が次の総裁選で「ポスト岸田」をめざすには、派閥存続を訴え、「数の力」を保持しようとする麻生氏の後ろ盾が必要だからだ。

 そして、茂木氏が警戒するのは、早々と派閥を出た小渕氏だ。小渕元首相の娘であることに加え、森喜朗元首相という大きな後ろ盾がいる。

 森元首相が小渕氏を推すのは、小渕元首相や青木元官房長官との関係からだ。小渕元首相が病に倒れ、都内のホテルの一室に集まった党幹部、いわゆる“5人組”の密談で、小渕氏の後継に森元首相が座った。森元首相は、青木氏を引き続き官房長官に起用している。

 森元首相にとって、青木元官房長官は早大雄弁会の先輩でもあり、青木元官房長官の「お別れの会」では、生前本人が「いずれは党総裁に」と推していた小渕優子氏について、「あなたの夢、希望がかなうように努力する」とあいさつしている。森元首相にとっては小渕氏を支えるとの思いは強い。

入院する約5時間前、自由党との連立解消を表明する小渕恵三首相。右は森喜朗自民党幹事長(肩書はいずれも当時)=2000年4月1日午後7時53分、首相官邸の大ホール前

派閥離脱した小渕氏を森元首相がさらにプッシュ

 岸田派の国会議員は、

「『ドリル優子』とやゆされている小渕氏について、森元首相は岸田首相に『安倍派があなたを推しているのだから、小渕氏を幹事長に』と迫ったという。しかし、さすがにそこまではまずいと言って、選対本部長でなんとか納得してもらった。それほど、森元首相は小渕氏に入れ込んでいる」

 と打ち明ける。

 安倍派も解散となった現状で、小渕氏も茂木派を出るとなれば森元首相がさらにプッシュすることは十分、考えられる。

「森元首相も首相候補は握っておきたい。岸田首相が安倍派『5人衆』らにケジメを迫っているが、森元首相はなんとかそれを回避しようと、必死で動いている。ただ、5人衆は裏金で全員アウト。二度と浮上しないかもしれない。安倍派以外で森元首相のお眼鏡にかなう人となれば、小渕氏でしょうね。茂木氏のバックにつく麻生氏を含め、そこに物を言えるのは森元首相くらいしかいない」

 と安倍派の衆院議員は見る。

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政治評論家が名前をあげた「次の首相」候補は……