安倍派の裏金事件を機に岸田文雄首相の岸田派も解散するなど派閥の解散が進む自民党だが、瀬戸際で方向性が定まりにくいのが茂木敏充幹事長が会長を務める茂木派(平成研究会)だ。派閥が茂木氏の力の源になっていただけに、簡単には解散できない事情がある。一方で、これを機にと派閥から離脱する議員もいる。自民党内の“政局”に大きく影響してくるだけに、それぞれの思惑が絡み、動きが活発化している。
【写真】意外?といえば意外。茂木氏が警戒すべきは小渕氏ではなくこっち
1月25日、茂木派の小渕優子選対委員長が退会を表明し、その後、26日には青木一彦参院副幹事長も後を追う形で退会を表明した。小渕氏の父恵三氏と、青木氏の父幹雄氏は、恵三氏の首相時代に幹雄氏が官房長官として支えた間柄だ。
こうした動きは派閥内の他の議員にも影響したようだ。
26日夕。茂木派の複数の議員にSNSでメッセージがまわった。
<いい機会なので、茂木から離れようではないか。風が吹いてきた>
<会長だったから支えてきたが、派閥がなくなればカネもポストも握れない。乗り換える理由になる>
<いずれ小渕をトップにして、青木が支えるという体制ができるはずだから、そちらに乗るか>
などと記されていた。
派閥離脱者続出で茂木氏には苦しい展開
SNSを受け取り、「いいね」と返信した茂木派のある参院議員は、
「茂木派は、茂木氏が会長ではあるが、小渕氏を首相に、という勢力が青木氏をはじめ参院ではかなりいる。岸田派の解散が、ケンカ別れにならずに茂木派から離れるいい口実になったということです」
と話した。
小渕氏や青木氏のほか、関口昌一・党参院議員会長ら複数の派閥幹部も同調しており8人が退会を表明している。今後、さらに離脱する議員が出るとみられる。そうなると、「次の首相」を狙う茂木氏にとっては苦しい展開となる。
茂木氏が自民党の幹部として力を保持できるのは、派閥の会長として多くの議員を束ねてきたからだ。総裁選となれば、派閥を動かして推薦人、票を集めることができる。茂木氏にとって、首相の座をつかむには、派閥の会長であることが絶対条件だったのだ。