近年の投手では井納翔一(DeNA→巨人)も苦しんだ一人だ。DeNA時代は4年連続で100イニング以上に登板し、8年間の在籍で50勝をマークするなど先発の一角として活躍。2020年オフに2年総額2億円(金額は推定)で巨人に移籍した。しかし巨人では目立った故障などはなかったものの、一軍では精彩を欠くピッチングが続き、2年で12試合の登板、わずか1勝に終わり2022年限りでユニフォームを脱ぐことになった。同じセ・リーグで大きく環境が変わらない移籍で、二軍では2年ともある程度投げられていただけに、ここまで一軍での結果が出なかったのはチーム事情も関係しているように感じられる。そういう点も移籍の難しさの一つと言えるだろう。

 人的補償の発生するAランクやBランクの選手ほどではないものの、やはりFA移籍となればそれだけ球団やファンの期待と注目度も大きくなり、結果を残せない中で焦りも出てくる部分もあるのではないだろうか。そういう意味でもこのオフに移籍した山崎福也も自分のペースで調整できるかが重要になりそうだ。(文・西尾典文)

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。
 

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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