京都府の木津川市立木津小は、体育の授業で使用している軟らかいウレタン製の「ティーボール」の使用を考えている。
「グラブは、体育の授業等で活用していく予定、と保護者にもお伝えしています。本校は野球用の硬いボールは扱っていないので、今の段階では、ティーボールを使っていくつもりです」(木津小教頭)
感じられた意識の「差」
さらに、まったく別な視点から、寄贈グラブの活用を語った学校長もいた。
横浜市立新吉田小の校長は「グラブを校内に飾るだけではダメで、使わなかったら意味がない」としたうえで、
「何よりも大谷選手の夢やスピリッツを子どもたちに伝えて、前向きに頑張る気持ちにつなげていくことが教育に携わる者としての大事ではないか」
と話す。
新吉田小の児童数約760人に対して、グラブは3個である。
「この3個のグラブに対して、子どもたち自身がどう使うのか考える。そのこと自体がものすごく大切なことだと思っています。グラブを通じて大谷選手からのメッセージを受け取った子どもたちが1年後、2年後にどう変化するのか。誰も想像できないでしょうし、とても楽しみです」(新吉田小校長)
今回の記事で紹介した学校は、いずれも寄贈グラブについて熱っぽく語ってくれた学校だ。その一方で、「やっかいなものが届いた」という意識が感じられた学校も少数ながらあった。
グラブを使うとなれば、それに応じた安全対策が必要となり、野球ボールを使ってキャッチボールをする際には教員の配置が求められる。ただでさえ忙しい学校の現場にとって、負担が増えることになる。
華々しいお披露目式が終わり、「野球しようぜ!」のメッセージは、これからどう子どもたちに伝えられていくのだろうか。
(AERA dot.編集部・米倉昭仁)