福岡県の北九州市立藤松小も、グラブをどう活用するか模索中という。
「各教室にまわして、子どもたち全員がグラブを手にしましたが、まだキャッチボールはしていません」
と、教頭は打ち明ける。
藤松小では「野球など他の人の迷惑になる遊び」を校庭で禁じている。
「そのようなことも含めて、今後グラブをどのように活用していくか、教員だけでなく、子どもたちの意見も聞きながら、考えていきたいと思います」(藤松小教頭)
取材した学校のなかには、グラブは届いたものの、「活用についてはまだ何も決まっていない」と、そのまま校内で保管している学校もあった。
ボールは「硬くてもテニスボール程度」
一方、取材した半数以上の学校が、安全面に配慮しつつ、グラブを活用する計画を立てていた。
埼玉県の越谷市立南越谷小の校長は「実際にキャッチボールをして、野球に対する興味、関心が高まるようにしていきたい」と意気込む。
南越谷小には、学校で「キャッチボールなどはしない」という規則がある。
「ただ、それは子どもたちが自由に遊ぶ時間のきまりです。本校には野球のクラブがありますので、教員がしっかりと指導できる体制の中でグラブを使っていこうと思っています」(南越谷小校長)
同県の志木市立志木小は、ボールを工夫することでグラブを使っていきたいと言う。
「今は、昔のように子どもたちがみんな野球をやっている時代とは違います。硬球や軟球は使えないので、もっと軟らかいボールを使用することを考えています」(志木小教頭)
志木小は児童数約900人の大規模校だが、校庭は市内で最も狭く、休み時間は「密」になりやすいという。
「そんな事情もありますので、ボールは硬くてもテニスボール程度かな、と話し合っている最中です。野球を広めたいというのが大谷さんの趣旨ですので、これを機会にグラブを買い揃えて、1クラスぶんくらいが使えるようにしてあげたいという気持ちがあります。ただ、お金と相談というところですね」(同)