一方の野手でやはり気になるのが山田だ。2021年から7年総額推定40億円という超大型契約を結び、1年目は34本塁打、101打点と期待通りの結果を残したが翌年以降は低迷。昨年は怪我もあって、10年ぶりに規定打席未到達に終わった。契約はまだ4年間残されていることからいきなり大減俸となることはなさそうだが、このまま低迷が続くようであれば風当たりが強くなることは間違いないだろう。
昨年揃って巨人でプレーした中田、丸、梶谷の3人も選手としての大きな踏ん張りどころに来ている印象を受けるが、中でも最も重要なシーズンを迎えていると言えるのが今年で4年契約最終年となる梶谷だ。2020年オフにFAでDeNAから移籍したものの、度重なる故障で過去3年間で規定打席に到達したシーズンは0。一時は育成契約にもなっている。昨年は移籍後最多となる73安打を放っているが、高額な年俸を考えると十分に満足できる成績ではない。今年も同様の結果であれば、大幅減俸を超えて一気に自由契約という可能性もありそうだ。このオフに大幅減俸を味わった丸、中日に意外なほどの好条件の2年契約で移籍した中田も年齢を考えると1年1年が勝負であることは間違いない。
年齢的にもまだ他の選手ほどベテランではないものの、チーム内の立場が苦しくなってきているのがキャッチャーの梅野だ。昨年は怪我もあったが、プロ入り後初めて坂本誠志郎に出場試合数で下回り、正捕手は坂本という雰囲気が出来上がりつつある。2019年にはNPB歴代最多となるシーズン123補殺を記録するなど、捕手としての能力の高さは誰しもが認めるところだけに、何とか今年は巻き返したいところだ。
ベテランと言われる年齢となった高額年俸の選手は成績が落ちると、風当たりが強くなるのは仕方のないことである。しかし昨年は和田毅(ソフトバンク)が42歳という年齢にもかかわらず、チーム2位タイの8勝をマークして年俸アップを勝ち取ったように、不惑を超えても活躍した選手は過去にも多く存在している。今回名前を挙げた選手たちも、ここからファンが驚くような復活を見せてくれることを期待したい。(文・西尾典文)
西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。