静かな、そこだけ「時」が止まったような店のウインドウには、今まで見たことのないブリキのロボットがズラリと並んでいて「昔のおもちゃを探してます。これ全部ください!」と頼み込み、お店に何度も通ううちに 仲良くなって、倉庫まで見せてもらい、 「売れ残りの商品だけどいいの? 返品はしないでよ!」と、信じられないぐらい安い値段で分けてもらったり、発売当時の値段で譲り受けたりしたこともありました。

 ブリキのおもちゃコレクション第1号は、当時住んでいた地元のおもちゃ屋さんの棚の奥のほうに、新しいおもちゃの陰にひっそりと隠れるように置かれていた消防自動車。その消防自動車は、僕が子供の頃、どうしても 欲しくて買ってもらったものと同じものでした。それからは加速度的に増えていき、部屋中の至る所、カーテンレールの上までズラリとおもちゃが並ぶようになるのに、1年とかかりませんでした。

ブリキのおもちゃコレクション第1号の消防自動車。発売当時の価格は90円だった。(写真/北原照久)

 その後、オークションなどで日本製のブリキのおもちゃの価格は高騰したのですが、僕は販売目的ではなく、あくまでもおもちゃの歴史を語る上での貴重なコレクションとして、次の世代に引き継いでいくという使命感で、まだまだこれからも集め続けたいと思っています。

北原照久(きたはら・てるひさ)/1948年、東京都生まれ。ブリキのおもちゃ博物館館長。ブリキのおもちゃコレクターの第一人者として世界的に知られ、「開運! なんでも鑑定団」に鑑定士として出演中
暮らしとモノ班 for promotion
携帯トイレと簡易トイレの違いってわかる?3タイプの使い分けと購入カタログ