そんな、ほとんど利用もされていなかった投機型の分譲地が、にわかに活況を呈し始めたかに見えた時期が、1980年代後半からの、いわゆる「バブル景気」の時代である。バブル時代の投機は公共事業やリゾートなどの大型開発に顕著であり、個人向けの宅地分譲は、70年代ほど大量に開発されることはなかったものの、地価の高騰はすさまじく、都内は言うに及ばず、千葉県においては、県都である千葉市をはじめとした県内の主要都市もまた、平均的なサラリーマンではおいそれと手が出ない価格帯に到達してしまった。

バブル期に脚光を浴びた千葉県八街市、東金市

 その際に、廉価な住宅地として脚光を浴びたのが、八街市、東金市などをはじめとした、千葉県の遠郊外部の住宅地である。70年代に数多く開発・分譲されたものの、その後利用されることもなく塩漬けの状態にあった宅地に、次々と新築家屋が建てられるようになっていった。都内へ通勤するには大変でも、例えば勤務先が千葉市周辺であれば、自家用車で通勤するのは十分可能なエリアである。

 新たに開発された宅地ではなく、すでに工事は完了していた既存の分譲地なので、利便性を問わなければすぐに利用することができたし、その時点で膨大な数のストックが残されていた。個人が購入して新築住宅を建築するほか、地元業者による建売住宅の建築用地としても使われ、ほとんど空き地ばかりの分譲地の中に、1ブロックだけ同じような外観の家屋が立ち並ぶ光景も見られた。

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その家屋の並びは虫食いそのもの