愛助も自分も「死を見据えて」生きる
「あります、それは。愛助もそうですし、僕自身もあるんです。
死を見据えて今の生を全うする生き方って、普通はしないかもしれないですが、僕は元々そういうことを考えるほうなんです。
だから、死ぬまでにやりたいことも意識しています。経験や資金、人脈が足りなかったりして今はできないけれど、やろうとはしているので、今死んでも僕は別にいいなと思うんですよね。当時の結核は今の結核とはわけが違うので、愛助も多少なりとも自分の死を意識はしていますよね。台本を読みながら周囲の方と『幸せなシーンであればあるほど切ないよね』と話はしています」
物語が史実通りに進むのなら、画面からあの笑顔が見られなくなる日はもうすぐ来てしまう。すでに「愛助ロス」に恐々とするファンも少なくない。
ただ、当の本人はさっぱりとこう言った。
新しい推しを見つけて
「世の中の流れは止められないですからね。ただ、少なくとも僕はロスを生みたい、という思いで、現場に立っていないので。現場の監督、演出に対してどれだけ応えてOKを積み重ねていけるかということしか考えていないんです」
「ロスにおびえる視聴者たちに、何か温かいメッセージを……」と頼んでみると、からりと笑った。
「新しい推しを見つけてもらえれば。それが幸せじゃないですか? 仮に日本のエンタメ界に新しい推しを見つけてくれたら、業界全体にとって喜ばしいことだと思います」
水上が筒をつくり、自分自身のエキスで膨らませた“愛助”は、どんな人生をどう生き抜くのか。心の準備をしっかりしつつ、二人の愛を見守りたい。(文中敬称略)
(ライター・市岡ひかり)