国交省の関係者によると、羽田空港では滑走路と誘導路を見守る管制官が、それぞれ1人ずつ配置されている。その補佐役も1人いる。

 さらに、管制業務のシステムには、着陸しようとしている機体がある滑走路に別の機体が進入していると注意喚起する「滑走路占有監視支援機能」がある。この警告は、管制官が取り扱うモニター画面に表示される。

 事故当時もこの装置は正常に作動しており、管制官が警告に気づいていなかったと見られている。国交省は6日から、同装置を常時監視する管制官を配置することを決めた。
 

 しかし、この警告機能には問題があると、前出の管制官の男性が指摘する。

「正直なところ、警告の誤報が多いため、その機能として役割を果たせていない。そのため、目視に頼り切ってしまうことがほとんどなのです」

 男性は事故後も、羽田空港で仕事を続けている。

「日々の業務で(交信用の)マイクを持つのが怖い。自分の判断が正しいのか、常に疑ってしまう」
 

便数は急増しても管制官は減少

 事故の背景には、新型コロナから戻りつつある日本の空の「混雑」もあると考えられている。

 国交省の資料によると、日本国内にある管制塔が扱う飛行機の数は、2004年は約463万機だったが、19年には695万機に上った。コロナ禍の20年、21年に420万機まで減ったものの、22年には551万機まで回復。国交省によれば、23年以降は19年と同じ水準になりそうだという。

 あわせて羽田空港の発着回数も増加傾向にあり、22年度には約41万回に。JR山手線並みの頻度で航空機が離発着している状況だ。背景には、新滑走路が10年に増設され、東京五輪に向けて都心上空を飛ぶ新ルートが20年3月から運用され始めたことがあげられる。
 

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人員が減っている管制官の職場