事故から一夜明け、主翼と尾翼の一部を残して焼け落ちた日航機=1月3日、東京・羽田空港
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 東京・羽田空港で年始に起きた、日本航空の旅客機と海上保安庁の航空機との衝突事故。原因は、離発着をコントロールする空港の管制官と飛行機のパイロットとのやり取りの中で、何らかの人為的ミスがあったと見られている。しかし、多くの人命を預かる管制官の「現場」は、取り扱う航空機の数が新型コロナ後に増加している一方で、人員が削減されているという厳しい状況にあるという。

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 航空機の飛行状況をリアルタイムで提供するウェブサイト「フライトレーダー24」を見ると、飛行機の形をした黄色いマークがいくつも並んで列をつくり、東京・羽田空港に向かって進んでいく。途絶えることなく数分おきに、離陸と着陸が繰り返されているのだ。

 国土交通省によると、羽田空港の発着数は1日約1300回。ピーク時には1時間に90回にも上り、1分間で1.5機が発着している計算になる。

 英国の航空情報会社OAGが発表した2023年の「世界混雑空港ランキング」によると、羽田空港は米アトランタ、ドバイ国際空港に続く3位にランクイン。世界でも指折りの忙しい空港なのだ。

 この過密な航空機の離発着をコントロールしているのが、羽田空港でひときわ高い管制塔などで働く管制官たちだ。
 

 羽田空港の管制塔は2009年に新しく作られ、高さは国内で最も高い115.7メートル。空港全体を見渡せるように全面がガラス窓になっている。

「管制官という仕事は、自分の指示が人命を左右することから、ミスは絶対に許されない。常に職場はピリついています。いつも胃がヒリヒリし、予想以上にストレスがかかる現場です」

 羽田空港で航空管制官として働く男性は、そう語る。
 

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「あおってくるパイロットもいる」