今季がプロ入り5シーズン目となるヤクルト・奥川恭伸
この記事の写真をすべて見る

 ヤクルト・奥川恭伸は完全復活できるのだろうか……。プロ入り2シーズン目となる2021年にはチームの日本一にも貢献した若き右腕の快投を、ヤクルトファンだけではなく、野球ファンたちが心待ちにしている。

【写真】かつて「日本一地味な1億円選手」と呼ばれたのはこの人

 だが、キャリアの早い段階から結果を残していたものの、2022年3月29日の巨人戦(神宮)を最後に、一軍のマウンドに立てていないのが現状。エースの背番号となる「18」を背負った2023年も一軍の登板はなく、二軍戦でも8試合のみの登板に終わり、0勝4敗、防御率6.26と期待外れに終わっている。

「プロ2年目だった2021年の活躍からそのままエースになれると思ったが甘くなかった。背番号18も球団側の期待の表れだが今のままではローテーション入りも難しい。5年目の今季は大卒選手と同じ23歳で正念場にもなる」(ヤクルトOB)

 奥川は2019年夏の甲子園で現在巨人でプレーする山瀬慎之助とバッテリーを組み星稜の準優勝の原動力に。同年のドラフト1位で3球団競合(巨人、阪神、ヤクルトが指名)の末にヤクルトに入団した。

 プロ入り1年目のシーズン最終戦で初先発(3回途中5失点で黒星)を果たすと、翌年には間隔を開けながら先発投手として18試合に登板し、9勝4敗、防御率3.26と高卒2年目としては上々の成績をマークした。ポストシーズンでも巨人とのCSファイナルステージ、そしてオリックスとの日本シリーズでも初戦の先発を任さるなど、同級生の“令和の怪物”佐々木朗希(ロッテ)に負けぬ成長曲線を描いていた。

「球威に加え勝負度胸が素晴らしく、ルーキーイヤーのキャンプ時から即戦力に思えた。しかし首脳陣は起用方法に気を使い、2年目も登板間隔をあけながら大事に投げさせた。(故障は多いが)決して無理をさせたわけではない」(ヤクルト関係者)

 かつてヤクルトでは岡林洋一や川崎憲次郎、伊藤智仁のように即戦力投手が酷使され潰れたケースも目立った。しかし時代も変わり選手の体をケアする情報や方法が充実、奥川に関しても長きにわたって活躍できる投手に育てようと細心の注意を払って育成に取り組んでいた。

次のページ
一時はトミー・ジョン手術のプランも浮上