「高校時代から投げ続けてきた勤続疲労があったのかもしれない。またプロという最高峰の舞台でプレーすることが肉体、精神の両方に想像以上の疲労を与えたとも考えられる。フィジカル的な部分での不安を取り除き、体を強くしていくしかないだろう」(ヤクルト担当記者)

 日本シリーズまでフル稼働した翌2022年に右肘痛を発症。トミー・ジョン手術を受けることも検討されたというが、本人の意思で保存的療法を選び、復帰を目指している。今年の春季キャンプでは一軍からスタートすることが決まったが、昨年のピッチングを見る限りではまだまだ時間を要するという声もある。

「二軍戦や昨年11月の練習試合で投げたのを見たが、『投げられるようになった』という段階のように見えた。球速は出ていたようだが実戦で通用する球威には達していない。実戦感覚も戻さないといけないので、一軍で投げられるようになるまでは時間がかかりそうだった」(ヤクルトOB)

 昨季は二軍戦で100球近くまで投げられるようになったが、7月の練習中に左足首を負傷。10月の二軍最終戦で実戦復帰するも、登板予定だったフェニックス・リーグでは登板を回避。その後、11月の秋季キャンプで行われた独立リーグ・愛媛戦で3回を投げるだけに終わった。

「当初フェニックス・リーグでは3試合程度の登板が予定されていた。球団側はあえて情報公開しないが、右肘の状態を含めてマウンドに上がれる状態ではなかったということだろう。来春キャンプまでに状態がどの程度まで整うか」(在京球団編成担当者)

「結果論だが、これだけ時間がかかるなら(2022年の段階で)トミー・ジョン手術を受けても良かった。データ的には手術からの復帰でパフォーマンスが上がる投手は8割以上と言われている。状況によっては再びトミー・ジョン手術も浮上してくるかもしれない」(ヤクルト担当記者)

 戦力として期待しているチーム関係者やファンは一進一退の状態に歯痒い思いをしている。しかし最も苦しい思いをしているのは奥川本人だ。

次のページ
奥川は今シーズン完全復活できるのか