能登半島地震で政治家のふるまいが注目されるなか、SNSで賞賛を集めた人物がいる。富山県・滑川市の水野達夫市長だ。粛々とボランティア活動に従事する様子を伝えた投稿は瞬く間に拡散した。水野達夫市長とはいったいどんな人物なのか。
【写真】水野市長の行動を伝えるツイートと、公務中の市長。「いつものことです」に記者も胸を打たれた
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「市長さんかっこよすぎやろ」
「災害対応や被災者支援でお忙しい中、許されたプライベートの時間まで・・・」(原文ママ)
能登半島地震で大きな被害を受けた石川県の隣県、富山県の滑川市の水野達夫市長の行動が話題だ。水野市長は、13日、市内の公共施設を一人で訪れ、被災地への炊き出しの準備を行うボランティア活動に参加した。
“被災地で行う炊き出しの準備作業当日。ふらり1人でやってきて、現場に口出しせず、気も使わせず、野菜カットを手伝えるだけ手伝って、休憩時間に参加者と対話し、特別な挨拶もせず、目途がついたら帰ったのが市長。政治家の現場視察の手本だと思ったのでメモしとく”
その様子をこう伝えた投稿がバズっている。投稿したのは富山県のボランティア団体ばいにゃこ村の樋口幸男代表。表示回数は469万を超え、9.6万以上の「いいね」が付いている(いずれの数字も18日17時現在)。
ねぎを切って、休憩時間に話を聞いただけ
激甚災害に指定された能登半島地震では、政治家たちの行動が議論を呼んでいる。初動の遅れも指摘されるなか、テレビに生出演した総理大臣、レンタカーで被災地を訪問した国会議員--。被災時に政治家がすべきことについて議論を深めることは重要だが、そんな局面でのこのニュース、シンプルな行動に胸を打たれた人も多いようだ。
「自分の行動に大きな反響があったことは本当に驚いています。ただ、ねぎを切って、休憩時間に話を聞いて、ってだけだったんですが(笑)。この日は土曜日で公務がなく、自宅から歩いて2、3分行ったところでこういった活動がされていたので、参加しました。休憩含めて、2時間ほどいて、ある程度目途がついたので帰りました」
水野市長は、「政治家として」というよりも「人として」当然のことをしたまで、というように淡々と語る。「なぜこうした行動を?」と尋ねた記者の方が、ひどく的外れな質問をしたように感じてしまうほどだった。