ストーブリーグも後半戦となったが、1月11日以降は山川穂高のフリーエージェント(FA)移籍を巡る人的補償の話題で持ちきりとなっている。一度は人的補償として和田毅の名前が報じられながらも、最終的には甲斐野央の移籍が決定。両球団の間でどんなやりとりがあったかは明らかになっていないが、チームの顔とも言える和田は球団に残ることとなった。
【写真】「2億円」が「400万円」に急降下 球史に残る“大減俸”を味わった選手がこちら
1月17日時点で和田本人や両球団の関係者から経緯についての説明などはなく、多くのメディアがあらゆる視点で報道しているが、単純に戦力として考えた時に今回のソフトバンクの決定には大きな疑問が残る。それは甲斐野を簡単に放出してしまって良かったのかという点だ。甲斐野は2018年のドラフト1位で入団。2年目の2020年は右肘の故障で一軍登板がなかったが、これまで実働4年間で160試合に登板し、7勝11セーブ41ホールドという成績を残しているのだ。
特に160キロに迫るストレートの勢いはパワーピッチャーの多いパ・リーグの中でも屈指と言われている。ソフトバンクは抑えのオスナは安定しているものの、長年セットアッパーを務めていたモイネロと昨年ルーキーながら見事な活躍を見せた大津亮介はともに先発転向が予想されており、それを考えても甲斐野の抜けた穴は極めて大きい。もちろん和田が移籍となることのマイナスも大きいが、中長期的なスパンで考えれば戦力としてマイナスが大きかったのは甲斐野という声も少なくないのだ。
そして甲斐野の移籍でさらに目立つのがソフトバンクが近年上位指名してきた選手がほとんど自チームの戦力になっていないという点だ。2008年に統一ドラフトとなってから昨年までに入団した1位指名の選手で、完全なチームの主力となったのは今宮健太(2009年1位)と東浜巨(2012年1位)だけである。また2位の選手も柳田悠岐(2010年2位)、森唯斗(2013年2位)という大ヒットはあるものの、それ以外で目立つのは栗原陵矢(2014年2位)くらいしかいない。