吉高由里子演じる紫式部が主人公となる今年の大河ドラマ。1月10日発売の『平安 もの こと ひと事典』の著者、砂崎良さんと監修の承香院さんに平安時代の楽しみ方を聞いた。AERA 2024年1月15日号より。
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子どものころから源氏物語をくりかえし音読して暗記することを心の安らぎとしていた砂崎良さんと、平安のリアルを知りたいと手作りの平安装束で日常を過ごしている承香院さん。おふたりは平安沼にハマって長い。
──『平安 もの こと ひと事典』を読んでいても、何かと隠す・隠れる話が出てきますよね。牛車の乗り降りで姿が見えないように隠れるとか、部屋にいても顔を見られないよう几帳で隠すとか。
砂崎良さん(以下、砂崎):女性が人に姿を見せないって私たちの生活からすると想像しにくいですが、中東圏ではよく似たことを今も普通にやっている国もありますよね。中東圏の場合は歴史的に治安が悪かったので、女性は狙われるから奥に隠れていなさいということなんです。見られると目をつけられてさらわれてしまうので。平安の場合も治安が悪く、通じるところがありますよね。
平安は危険な時代
──ということは平安の女性たちが顔を隠したり、隠れたりするのは、襲われないようにするためということですね。
砂崎:はい、危険だからですね。しかも平安時代には警察もなければ消防もない。それこそ貴族のお姫様が、男に目をつけられてさらわれて地方に連れていかれてしまっても、「親は泣き暮らしました」で話は終わってしまう。どんな要人の子どもでも、何もできない時代だったんです。またそれと同じくらい恐れられていたのが魔物。迷信のようですが、恐怖感というのは理性を超える部分も大きい。こんな美しいお嬢さん、魔物が見たら魅入られてしまう。隠せ……となるわけです。