いざという時のために一度背負ってみよう(提供)
いざという時のために一度背負ってみよう(提供)
この記事の写真をすべて見る

 元日の夕方に発生し、最大震度7を観測した能登半島地震によって、我が家の防災を見直した人は多いのではないだろうか。ホームセンターなどの防災用品売り場では、売り切れの商品も出ていると報じられている。いざという時のために覚えておきたい防災のコツやアイデアを紹介する(「AERA dot.」2021年2月14日配信の記事を再編集したものです。本文中の年齢等は配信当時)。

【キャンプや非常時に便利!ポリ袋調理法とは?】

*  *  *

 昨日2月13日、福島県沖を震源とする強い地震が発生しました。改めて防災への意識が高まったという人も多いのではないでしょうか。いざ、防災備蓄を始めようと思った多くの人は、最初に「避難袋(非常持ち出し袋)を準備しよう!」と思うのではないでしょうか。セットを買っただけで放置していたり、数年前に作ったままになっていたりしていませんか? “わたし”のための避難袋、しっかり作っておきましょう。
 

 近年、非常持ち出し袋もさまざまな市販の商品が出回るようになりました。セットで買えばラクですし、しゃれたデザインならば購買意欲をそそります。でも、いざ災害が起きた時、買ってそのままのセットでは自分に必要なものが入っていないかもしれませんし、使い方が分からないものもあるかもしれません。逆に自分で作ってあれもこれもと入れてしまい、重くて背負えない可能性も……。防災士の立場から、非常持ち出し袋を準備するときに気を付けるべきポイントを説明します。

重さは? 数字よりも重視すべきこと

 非常持ち出し袋の講座を開催すると必ず聞かれるのが、その重さについて。背負ったときに感じる重さは、実際の重さだけでなく、避難袋の形状や詰め方によっても違ってきます。実際の重さよりも、背負った時にどう感じるかが大切です。

 重さについては、実は明確な数値があるわけではありません。一つの参考としては、米国小児学会では、子どものバックパックの重さは体重の10~20%を超えてはならないと勧告しています。それを当てはめると、体重50キロの場合は重さ5キロ~10キロ以下ということになりますね。

 実際に背負ってみるとわかりますが、5キロの非常持ち出し袋は、荷物を背負い慣れていない人にとってかなり重く、負担に感じます。また、体を動かす仕事や、運動習慣の有無によっても背負える重さは変わってきます。数字にこだわらず、背負ってみて走れる重さにとどめておきましょう。走れる重さなら、避難の最中に何かあっても反応して動けます。

 荷物の詰め方も、背負いやすさに大きく影響します。重いものは、背中から近く、上のほうに位置するように詰めるのがおすすめ。背中に近い方がいい理由を、シーソーの例えで考えてみます。シーソーは、相手が同じでも支点からより遠くに座ったほうが重く感じますよね。リュックの中の荷物もそれと同じで、同じ重さの荷物でも背中から遠いほど重く感じてしまうのです。また、上の方に詰める理由は、背中で重さを支えるためです。人の重心は腰骨の位置にあります。リュックの重心が体の重心より下にあると、背負った時には重さがそのまま肩にかかってしまいます。リュックの重心が体の重心と肩の間にあるようにすると、背中の面で支えられるので、背負うのもラクチン。お子さんをおんぶするとき、高い位置のほうが背負いやすいのと同じです。

必ず入れておくべき中身、意外なもの3つ

 袋に入れるものについても、何を入れるべきかをよく聞かれます。でも、その人にあったリストはその人が考えるのがいちばん! 非常持ち出し袋に入れるもののリストは検索するとたくさん見つかります。どれか一つをベースにして、ご自身向けにカスタマイズするのがお勧めです。
 

次のページ
平常時には気づかない大事なモノとは