1日半パックから1パックは食べたい(写真はイメージです Getty Images)

 体に良いイメージしかなく、味噌、醤油など和食に欠かせない食材である「大豆」は、実は消化が難しく、摂りすぎは膵臓がんのリスクを高めるとの研究報告も。それでは、大豆のマイナス面を克服する一番、良い摂取法とは何か。アンチエイジングクリニックを開院した医師・満尾正氏の新著『ハーバードが教える 最高の長寿食』(朝日新書)から一部を抜粋、再編集して解説する。

【写真】すい臓がん余命半年といわれ1年半

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ソイプロテインなどの、長期間の過剰摂取は要注意

 大豆は和食には欠かせない食材であり、大豆を使った豆腐、湯葉、油揚げなどの大豆製品や、煮豆などの豆料理も種類が豊富です。大豆は良質なたんぱく源となるうえ、糖質、ビタミン・ミネラル、食物繊維もバランスよく含んでいます。また、大豆イソフラボンという微量成分が含まれています。

 大豆イソフラボンは化学構造上、女性ホルモン(エストロゲン)と似ているため、生体内でエストロゲン受容体と結合し、弱いエストロゲン様の作用を発揮します。更年期症状の改善のほか、乳がん、前立腺がん、骨粗しょう症などの予防に役立つと言われています。    

 健康に寄与する食材であることは確かですが、大豆偏重志向になって摂りすぎるのは考えものです。基本的に大豆は消化吸収が難しい食材でもあります。50年ほど前のマウスを使った動物実験でも大豆を与えたマウスの膵臓に負担がかかるということが実証されているのですが、近年、国立がんセンター研究所からも「大豆製品の過剰摂取は膵臓がんの発症率を増やす」という警告が出されています(注1)。

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満尾正

満尾正

満尾 正(みつお・ただし) 満尾クリニック院長・医学博士。日本キレーション協会代表。米国先端医療学会理事。日本抗加齢医学会評議員。1957年、横浜生まれ。1982年、北海道大学医学部卒業。内科研修を経て杏林大学救急医学教室講師として救急救命医療に従事。ハーバード大学外科代謝栄養研究室研究員、救急振興財団東京研修所主任教授を経た後、2002年、日本初のキレーション治療とアンチエイジングを中心としたクリニックを赤坂に開設、2005年、広尾に移転、現在に至る。主な著書に『世界の最新医学が証明した長生きする食事』『食べる投資 ハーバードが教える世界最高の食事術』(アチーブメント出版)、『世界最新の医療データが示す 最強の食事術』(小学館)、『医者が教える「最高の栄養」』(KADOKAWA)など多数。

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納豆のすごい実力