入試に向けて、クリスマスやお正月返上で勉強してきたという子どもたちもいるだろう。合格ではなく入学後をイメージさせることも必要だ(写真:gettyimages)
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 年が明け、中学受験はいよいよ入試シーズンが到来する。この時期、出願校選びや子どもへの声かけで注意したいことがある。AERA 2024年1月15日号より。

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 中学受験もいよいよ本番。首都圏の家庭の中には本命校の受験を前に、地方入試で肩慣らしをしようと考える人もいるが、本番直前のこの時期、どんなことに気を付けたほうがいいのか。

合格がゴールではない

 現在、首都圏を中心に中学受験のスタート時期が低年齢化しているなか、低学年から塾に入れた親ほど、リターンを求めがちだ。直前の追い込みで、目指す偏差値帯に届くのではという期待を捨て去ることができない。入試まで1カ月を切るこの期に及んでも勉強に身が入らない様子の我が子を見ると、つい「そんなことでは落ちるよ!」と声を荒らげてしまいそうだが、子は親が思う以上に緊張している。

 中学受験経験者の首都圏在住の30代女性は、入試1校目に落ちたときに母親からかけられた言葉が今も脳裏に残ると話す。

「本番に弱い子ね。もっと本気で!」(女性の母親)

 気合を入れるために発した言葉だっただろうが、本人はこれ以上は頑張れないという気持ちでいたため、むしろ気分が落ち込んだ。本番直前のこの時期は、その子なりの頑張りを認め、褒めて気持ちを乗せる方が得策だ。肝心なのは合格のその先だ。

「学校としては入学がスタートですから、中学受験合格がゴールのような状態で入ってきてしまうのが一番困るんです」

 都内の人気難関中学に勤めた経験もある男性教員の口からはそんな本音が漏れる。

 一方で、入学後の学校生活に憧れて入学する子は強いという。ある年のこと。各校の合格発表も終わりの時期になって予想外に入学辞退者が出た。繰り上がり合格を出すことになり、繰り上がり順位1位の家庭に電話をすると、息子の名前を叫ぶ母親の声の後、涙ながらに喜ぶ親子の声が聞こえてきた。

 繰り上がり合格の場合、学力的には最下位からのスタートと分かるため、入学を躊躇する家庭もあるが、この生徒は入学、やる気に満ちた学校生活を送ったという。本人の“この学校に入りたい”という強い気持ちが入学後の頑張りの糧になったのでは、と教員は振り返る。

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