第二期『M-1』で最も遅い時期の王者となった令和ロマンは、この年末年始バブルの恩恵を受けることができなかった。ただ、いくつかの生放送のネタ番組には呼ばれていたし、『M-1』優勝前から彼らを起用していた番組には出演していた。

記念すべき冠番組

 特に話題になっていたのは、12月28日放送の『令和ロマンの娯楽がたり』(テレビ朝日系)である。『M-1』優勝前に収録されていた番組が『M-1』優勝直後に放送されることになったのは奇跡的だ。しかも、彼らにとっては記念すべき初めての冠番組だった。

 企画内容は、Aマッソ加納、ダウ90000蓮見などのゲストと共に「なぜ日本人は未完成のアイドルが好きなのか?」「5年後天下を獲る芸人は?」といったエンターテイメント関連の議題について考察を深めていく、というもの。

 令和ロマンのくるまは、ファンの間では分析好き、考察好きとして知られていて、お笑いコンテストについて真剣に考察するYouTube動画なども話題になっている。この番組では、そんな彼のキャラクターが生かされていた。

 令和ロマンはもともと見た目や芸風に特徴がない地味な芸人だと思われていたし、本人たちもそれを自覚しているような発言をしていた。

 これまで彼らがマスコミで取り上げられるときには「慶応大学のお笑いサークル出身の高学歴コンビ(ケムリは卒業、くるまは中退)」「ケムリの父親は大和証券グループの副社長で大金持ち」といった学歴や家庭環境の部分にスポットが当たることが多かった。

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くるまの分析キャラは花開いたが