しかし、2日後、関本は「自分の思いを伝えるのが下手なために、球団の人にも迷惑をかけた」と謝罪。「生涯タイガースという気持ちがある」とアピールした。岡田彰布監督も「セキがおらんかったら、2位にもなれてないと思うよ。あのクラスの選手は、その1年の結果で評価してやらんと」と援護射撃。こうした流れを受けて、球団側も12月26日の再交渉では5000万円を提示し、めでたく合意となった。

 また、この日同席した代理人の黒田悦男弁護士が「関本の話を聞いて、僕も寝ちゃうぐらいでしたから」と暴露したことから、あくび騒動も笑い話で幕。本来なら交渉の席であくびをするほうが非常識なのだが、相手に謝罪を求めることなく、自ら反省の意を表し、事態の収拾を図ったことが、結果的に吉と出たようだ。

 その後の関本は、決め台詞「必死のパッチ」で人気を博し、晩年は“代打の神様”として2015年まで現役を続けた。(文・久保田龍雄)

久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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