仮にゼロ金利政策を解除しても、利上げを一気に進めるとは考えにくく、引き上げ幅は0.25%や0.5%程度にとどまるでしょう。年末のローン残高の一定割合を所得税や住民税から差し引く住宅ローン減税も続き、補助金をもらって住宅を買えるような状況は相変わらず続いています。日銀の政策変更以外の要因で金利が上がるような異常事態が生じない限り、ローン金利への影響は軽微であるとみています。

――株価や政治情勢の影響についてはどのようにみていますか。

 長期的には、2012年の民主党から自民党への政権交代以降、あるいは13年の安倍晋三第2次政権発足後の「黒田バズーカ」後、不動産価格、取り分け都心のマンション価格は株価が上昇を続けるのと同じような軌道をたどり、上昇を続けてきました(上のグラフ)。

 24年は9月に岸田文雄首相の自民党総裁任期を控えています。足元では自民党の派閥の政治資金パーティー問題も予想以上の急展開を遂げている印象です。衆院解散・総選挙といった政局に発展する可能性も捨てきれないでしょう。

 問題がどこまで広がるかは分かりませんが、選挙相場で株価が値上がりするようなことがあれば、マンション価格の一段の上昇も見込まれます。

 また、気候変動の影響や豪雨といった自然災害リスクの高まりにも改めて注意したいですね。物件選びの際には、地盤がしっかりしているかどうかや、水害リスクが少ないかといった点に今一度目を向ける必要があると思います。

(AERA dot.編集部・池田正史)

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